人が亡くなったことを書く_20230208

アメリカにModern Drummerという雑誌がある。洋雑誌だからほとんど読んだことがないのだが、ニッポンのドラムマガジンもこの雑誌からの翻訳記事を掲載したりしていたことがある。
Modern Drummerの創刊は1977年。創刊号の表紙を飾ったのはバディ・リッチだった。まだリッチが世界一のドラマーとして健在だった時代のことであり、まぁ妥当と言えるだろう。ところでニッポンのドラムマガジンの創刊号は誰が表紙だったかな?(答:ジェフ・ポーカロ
創刊から3号目となる1977年7月号では、表紙が4つに区切られ3人のドラマーが表紙を飾った。1人はKansasのフィル・イハート、1人はアラン・ドーソン、そしてもう1人はベースドラムのフロントヘッドに"BASIE"と書かれたドラムとともに登場した。当時、ベイシー楽団のドラマーだったブッチ・マイルスである。ベイシー楽団のドラマーがドラム雑誌の表紙に載る時代だったのだなぁ。しかも当時はブッチ・マイルスは、ニッポンのドラムメーカー、Pearlのエンドーサーだった。
そのブッチ・マイルスが亡くなったとのこと。音楽の先輩からフルバンというものを教えていただいた頃、初めて買ったベイシーのCDが"Montreux '77"だったので、今日はこれを聴いて寝ることにしよう。ドラムはもちろんブッチである。
ブッチの名演は他にも"Basie Big Band"、"Live in Japan '78"、"On The Road"(いずれもベイシー楽団)などなど。随所でド派手にぶっ放すドラミングと、バンドが一丸となってドライブしまくる演奏が堪能できると思います。

現在50代ぐらいの人たちが若い時分には、ネスティコ(この人も数年前に亡くなってしまった)が譜面を書きブッチがドラムを叩いた時代のベイシー楽団のサウンドはモダンなものとして受け取られていたと思う。今の若い人たちは当時のサウンドを聴いてどう思うのだろうか?

↓Modern Drummerのサイト

www.moderndrummer.com

亡くなった人のことを書く_20230112

つい先日フレッド・ホワイト(EW&Fのドラム)が亡くなったと思ったら、今度はジェフ・ベックかよ…。

第二期ジェフ・ベック・グループ以降しか聴いてなかったが、個人的にはギターヒーローと言えばこの人のイメージだった。

幾つになってもバリバリギターを弾いていて、幾つになってもそれまでとは違う方向性に挑んでいたようだったので、まさに当然のお別れと言う他なく、本当に残念…。

カール・パーマーのドラムソロ動画

↓の動画はカール・パーマーのドラムソロの様子を収めたものであるが、コレ叩いてるのが御年72の爺様ってマジかよ…。

AHEAD 練習パッド AHWCP(WICKED CHOPS PRACTICE PAD)

ドラム関連製品メーカーのAHEADは、芯材にアルミを使った折れない(折れにくい)スティックで話題となって以来、ハードヒッターやメタルキッズ(キッズ?)御用達の印象を受けるメーカーである。
そのAHEADから数年前に、何ともスパルタンであり、ストイシズムを大いに刺激される練習パッドが登場した。AHWCP(WICKED CHOPS PRACTICE PAD)という製品で、下のリンクは公式サイトであるが、ショッピングページになっている。ポチらなくて結構です。

これは打面径約4cmという、ドラム史上おそらく最小と思われる練習パッドである(レモのパティパッドみたいなサイズ可変のものは除く)。
そして、ストロークの安定しない未熟者が叩こうとしたら空振りするという恐怖のトレーニングギアである。未熟者が(上手い人も)叩いて練習するのが練習パッドというものなのだが、こいつは練習パッドのくせに叩かせてもらえない可能性すらあったりするので、かなり異質な製品であると言えよう。

公式サイトの同じページには動画も載っていて、製品についてはこれを見るのがわかりやすいだろう。

その他の情報(特に日本語の情報)にアクセスしたい方は、お手数ですが検索していただきたく。

発売された当時、ドラムショップ各店のSNSでかなり盛んに宣伝されていたのを覚えている。世のドラマーの間でバカ売れしているという書き込みも見たことがある。本当かどうかは知らないが、数年経過してようやく私も購入に至った。

で、叩いてみたのだが、やたらカチカチ、カキンカキンといった音がする。プラスチッキーな音に感じる。Vic Firthの両面使える練習パッドの、硬い方の面を叩いた時の音に近いか、それ以上に聞こえた。
そして思ったより音量がでかい。アメリカではどうか知らないが、ここは日本である。我が国では非常に厳しい静音基準が要求される。特に集合住宅では問題である。現に、叩いていると隣の住人が露骨に気にしている様子が壁一枚隔てていても伝わってくるではないか。これはいかんと思い、改造することにした。

AHWCP(改) AHWCP(改)

AHWCP(改)

ホムセンで見つけたスポンジを円く切り、両面テープで打面に貼り付けた。はさみで切ったので見た目が汚い。次からは専用の工具を使うことにしたいのだが、他に用途がないため導入に二の足を踏んでしまう。
今回使ったスポンジは少々硬め、厚さは10mmで、感触はゴムに近い感じがする。ホムセンに行くと、ゴム素材とかスポンジ素材を扱っているコーナーで見つけることができるだろう。商品名は「スポンジゴム」だったが、店やメーカーによって異なるかもしれない。

それで改めて叩いてみると、カキンカキンという音から、ぼすっ、とか、ばしっ、という音に変わった。当初の目的通り、一応音量は抑えられている。それでもしっかり叩くと相応の音が出てしまうので、できればもう少し音量を落としたいのだが。あと、スティックの跳ね返りが強くなった。リバウンドがきついと言うよりは、ボヨヨ〜ンと跳ね返ってくる感じだ。もう少し跳ね返らないほうがいいかなぁ。
大昔に、B.ROSEというメーカーの練習パッドを使っていたのだが、これのスポンジ面が似たような感触だった気がする(スポンジの反対側がゴム貼りというパッドだった。覚えてる人はいるだろうか?)。わかりにい例えですみません。スポンジのついたパッドは他に使ったことがないので。

これ以上音量を落としたかったら、使うスポンジの見直しをするか、あるいはRTOMのムーンジェルみたいな素材に替えるかになるだろう。後者の場合は跳ね返りも大幅に弱くなるだろうが。

まぁとにかくこの状態で使ってみて、問題が出たらその時に考えることにする。
というわけで、このAHWCP.(改)を使って、グリップとストロークを安定化させるべく練習を始めた。スティックを持ち始めたばかりの人がやるような、本当に初歩的な練習を、チマチマとやっている。

最近はコテコテのジャズドラマーの人が解説する動画を見て勉強したりもしているが、こういう方々は決まって二言目には、シンコペーションブックをやりましょうとか、オールアメリカンドラマーをやるべきだとか、アランドーソンリチュアルは必須、とか仰る。勿論俺もそういうのに興味はあるが、ああいうバークリーを志す人がやるような練習って、ストロークが完璧にできるようになってからやらないと意味がないんだよね…。

大昔にドラムマガジンで読んだ話なので記憶が曖昧なのだが、ジョー・ポーカロ(LAのスタジオミュージシャンで、TOTOのポーカロ三兄弟の親父さん)は、練習パッドならぬ1セントコイン(日本の1円玉みたいなサイズ)を叩いてルーディメンツを練習したという。当然、叩いている時に1セントコインがどこかへ飛んでいってしまってはいけない。
上述したような上級向けの練習をやるようなレベルの人なら、1円玉を叩いて練習するぐらいお手のものなのだろう。1円玉でなく十円玉でもいいけど。

俺もあっち側に行ってみたいなぁと思いながら、1円玉の何倍も大きいAHWCP(改)を叩いて、ごく初歩的な練習を、細々とやっている。
現在の目標は、空振りしないことです…!

 

おわりに

AHEADの公式サイトを改めて見てみたが、思いのほか幅広く商品展開している。アルミ材スティックや手袋といったハードヒッター御用達と思われる製品ばかりでなく、フットペダルや椅子、スタンド類といったハードウェア、さらにはスネアに至るまで、自社ロゴを付けて販売している。どこがOEM供給しているんだろう…。

長く放置していたから人が亡くなったことを書く

アラン・ホワイトって亡くなったのか。今頃知った。
上手いロックドラマーと言うか、ロックが上手くて複雑なことができる人という印象だった。
"Yessongs"のジャケットの写真と、2年後の'75年のライヴ映像を比べると、二の腕の太さが倍ぐらいになっていた(ように見えた)。一体何があったのだろう。合掌。


シンセサイザー開発者のデイヴ・スミスも亡くなってしまった。Prophet-5以降、シンセで和音を奏でること、および作った音色を保存する使い方が定着した。モーグ博士(僕らの世代は「ムーグ」と読んでしまう)のモジュラーからMinimoog以来のシンセ革命だった。
個人的には、初めて機種名を認識したシンセがProphet-5だった。小田和正オフコース時代に使っていたのだった。合掌。